KAKUTAとアルケミスト 朗読の夜「満天の夜」

 君はひとりじゃない
 ひとりじゃない
 愛されてなくても
 愛しているなら


私が、KAKUTAという劇団に出会ったのは、案外遅くて。
花やしきでやった番外公演、「ムーンライトコースター」でした。

その直後の公演も企画公演で、
恵比寿siteにて行われた、「朗読講演・女の夜」でした。

一番最近に見たのは、↓の「北極星から十七つ先」です。
どんだけ書いてないんだ、こっちのブログ(笑)。


私にとっては初めての、KAKUTA×アルケミストの「朗読の夜」。
実際は2回目で、前回は、今回アンコール公演となっている「ねこはしる」を上演した。
私は正直、アルケミストというミュージシャンを、KAKUTAを通じて知ったのだ。
打ち上げで井尻氏とお話しする機会があり、HPを観にいって虜になり、今に至る。

今回は、まちだスターホールという、絶好の場所を得て、
星空の下での、「満天の夜」と「ねこはしる」のアンコール公演が上演された。
今回は、初めてのお手伝い。
体調不良で無駄に皆様にご心配をかけながらの現場。

プラネタリウム。
丸い天井。
真ん中に置かれた投影機。
3方に配置された白い舞台。
そこここに無造作に積まれた本たち。
観客は思い思いに、満天の星空を見上げる。

『ねこはしる』工藤直子
猫のランと、魚との友情のものがたり。
大地のあたたかさ、ススキのざわめき、コオロギたちの歌。
こういう番外公演を見るといつも思うのだけれど、
KAKUTAという劇団は、「場」の使い方の上手さがなんというか、尋常ではない。
役者達の口からうまれ出るざわざわとした音、リーンリーンという鳴き声。
円形の場内でそれは反響し、うねり、プラネタリウムの丸い天井へと昇ってゆく。

ラン役のハワイこと松田昌樹のなんと、なんと可愛らしいことか。
「俺、どうどうと食べられようと思う」という魚役の成清さんの目の色の深さ。
夕日に、大地に、しょうたろうさんの歌声が響き渡り、
ランと魚がひとつになる。

「どこに座ってるのか分かった」と役者の方々に云われたくらいに分かりやすい席で、
ぼろぼろ泣きながら見た自分に後で自分でツッコミを。

あたたかくて、残酷なおはなしでした。


『満天の夜』
短編を数話。
それを縫うように、一組の姉妹の話が織り込まれる。
読まれるのは、谷川俊太郎さんの詩。

 「一番星」田中ランディ
こういう人、たぶんオフィスにひとりいる。
とても身近に感じる、とあるOLの彼女。
暮れてゆく街と、若いカップルと、金網越しの彼女。それぞれの距離感。

 「星の光は昔の光」川上弘美
大好きな川上弘美。
きっと他のどんな有名な俳優が川上弘美の作品の朗読公演をしても、
きっとKAKUTAが一番だと感じるだろう。空気感が、非常に似ているのだ。
「大人びた表情を見せたりもする少年」こと馬場さんの絶妙の少年の空気。
奈央子姉の演じる、全く説明のされない、どんな人なのか分からない女性の持つやわらかさと一緒になり、最後には涙が出てきた。

 「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」村上春樹
村上春樹の短編で、これが一番好きだと思う。
なので、期待と不安が入り混じっていた。
100%の女の子は爽子さん。あぁ、わかる、私の中のイメージもそんな感じだ、と思う。
しかしながら始まってみると、想像以上のアップテンポの音楽。コミカルなスローモーション。
まんちゃんとワカ兄という絶妙のコンビ。笑う場内。
こういう雰囲気でこの作品を読んだことはかつてなかった。いやはや。
ぐいっと持って行かれる前半→しょうたろうさんにも笑わされる後半へと続き・・・
最後の2行が読まれる。
おや?と思う。
その瞬間、なぜか自分の持つこの本のイメージと、舞台とがきちんと揃い、終了。
おや?と思ったまま、次の話へ。

 「いつか、ずっと昔」江國香織
結婚を目前にしたれい子が出会う、昔の恋人達。
これだけが読んだことのない話であった。
(勝手ながら江國香織は食わず嫌いの対象に入っている)
次々に自分の前世を追う彼女。
彼女を待ち続けていた恋人たち。
ぶただったり、へびだったり、貝だったり。
次世の暮らしについて訊かれ、「悪くはありませんでしたよ。でも、もう忘れてしまいましたわ」と答える彼女。
必ず、いつでもその生において幸せである彼女。
羨むしかできない私は、この生から動けないように思う。


織り込まれる、姉妹の話。
妹であるところのチカは、姉のような口調で、姉をたしなめたりする。
もうすぐ会えなくなる。
でも本来なら、もうすでに会えなくなっている(のだろうと推察する)ふたり。
どこからが別れで、どこからが別れじゃないんだろう。
どこでさよならを云うべきなんだろう。
さよならを云ったら、もう、別れって言うことなんだろうか。
どんどん過去になっていくだけなんだろうか。

そもそも、姉妹モノに劇的に弱いので(自他共に認める完全なるシスコンなもので)、
満天の星空の下でもう、だーっと泣いた。


KAKUTAの芝居を見ると、芝居に関わっていてよかったと思う。
今回は始めて現場をお手伝いして、その中でわいわいやれて、
マチソワどちらも見せていただいて、ぼろぼろと泣いて。
何しに行ったんだか、と自分に突っ込んだり。

アルケミストとKAKUTAのメンバーに心からありがとうと。

そう、そして昨日は、アルケミストを聞きながら眠り、
すっきり熱が下がった・・・というわかりやすい魔法はなかったけれども(笑)、
気持ちよく目覚めた。

KAKUTAを観た日は、心地よいパワーに当てられて、ふわふわしたまま、いつもぐうすか眠るのだ。


*歌詞とか、せりふとか、結構うろおぼえです(笑)

「北極星から十七つ先」


そこは、あなたを待っている駅。
  そこは、あなたが帰る場所。




   KAKUTA「北極星から十七つ先」観劇。



ああ、終わってしまった。
あの超人気の中、どちらも一回ずつ観れただけでラッキーとしようか。
月曜日、諦めきれず並びに行こうとしそうな我と我が身をぐぐぐと抑え…。
(一見さんがひとりでも多く観れた方がいいわけですよ制作的に言うと)

2002年に上演された作品の再演。
再演が発表されて上演記録をHPでチェック。
このキャストでやった作品に久代が出るのか・・・とドキドキしながら。
先に久代の出るデネブサイドを観劇。
日曜日にベガサイドを観劇。

トラムに入ると、そこにはとある田舎の駅舎の空間が広がっていた。
奥行きと高さのあるセット。
ざらざらとした感触が伝わってくるような。
その待合室は、観ているうちに、どんどんあたたかで居心地がよい空間に転じていく。
しかし、駅は、人が来ては去ってゆく場所であることが、じわりじわりと、わかってくる。
相変わらずの、じわりじわりと沁み込むような、感情移入を経て、
悲痛な涙ではなく、嬉し涙でもない涙で、ステージがぼやけたりして。

ダブルキャストの公演を観て、
ここまでどちらにも面白く感情移入できた作品はなかった。
相変わらずの緻密な構成、キャストの選択&配置の妙。
演出の力及び役者の持ち味によって、そこには見事に二つの井鯨駅が立ち上がっていた。

-閑話休題-
以下、冷静な芝居制作者としての目(そんなもんはそもそも持ってないが)ではなく、「KAKUTAミーハーファン」としてのポイント。KAKUTA以外の人も含む。

ポンマ氏にフォーリンラブ。最高だあの駅長。なんていい役者だ(大興奮)!同じ眼鏡×前髪パッツンなのにあのバラ姉のコケティッシュさは何なのだ…(遠い目)。まんちゃんの筋肉に萌え。背と手足が高すぎて長すぎてむしろギクシャクして見えるあの身体の線にも萌え。私もお姫様抱っこしてほしい(おいこら)。ムトゥとカオの意外なかわいいマッチング。脳内ベストキャスト公演の中でもどちらにするかまだ選べないヒロさんとたっつん。ベガの小梅ちゃんと喋る時の奈央子姉は腰を折る。子供と喋ってるようだ。爽ちゃんが意外に背が高くてびっくり。長谷川さん、ソプラノな歌声がめちゃ綺麗。クボカンと真とハワイ…高校生か…(遠い目)。いや、まあ可愛かったけどね。馬場君は違和感あまりなし。さすがというべきか。もしかしたら成ちゃんのこんな感じの役を観たのは始めてかも。でも出てたよ、フェロモン。でも打ち上げでなんか変なテンションだったよこの人(笑)。若兄はこういう翻弄される役がやっぱりなんだか合っている。フキちゃんの困った顔をしたときの眉毛。アタフタとした動き。久代とのいい感じのバランス。大好き!久代と仲良くして頂いて、ありがとうございました。久代、いい役頂いてたね!キラキラの髪でブチ切れる女。身内ながら可愛かった。
-閑話休題終了-


終演後は、終わってしまった悲しさと、いい芝居を観た満足感とのせめぎあい。
殆どのメンバーと、雷電以降会ってなかったから久々の再会を喜び、
そして、この気持ちをどう伝えたらいいか悩む。
舞台の上で輝く人たちの笑顔。

先日の散歩道楽に引き続き、こんな作品を観せられる。
よしゃ。
がんばらにゃ。

「明日も明後日も 歌いつづけてゆこう
あぁなんて愉しい ショウほど素敵なものはない」

琉球紅型

紅型というものが好きである。
知識はないんだけども。

沖縄に友人と旅行に行った際、
車で試しに上がってみた坂の途中にあった、
呉服屋というか、ちょっと民家を改造した、という感じの、
琉球紅型ばかりを扱う店。
一気に恋に落ちました。
着物を買うほどの余裕はなく、
額に入った裂布と、寸法間違いで着れなかった(もったいない!)、
オーダーメイドの着物を解体したという、長い布を一枚購入したのみ。

鮮やかな空とかばっかりに気を取られていたよう、と思って、
それから紅型を見るたびに店に入ったけれども、
その小さな、観光客が入るには目立たなすぎるその店のセンスを、
越すような店はどこにもなかった。
金平糖と、つめたいお茶を頂いた土間の記憶。

その後、元々興味があった着物を着て出歩くようになって、
今、紅型の着物が欲しいという気持ちが頭をもたげてきている。
それはきっと、昼休みに立ち読みした、
琉球紅型ばかりをあつめた、本のせいだとおもう。
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